大阪高等裁判所 昭和24年(を)1475号 判決 1949年12月19日
被告人
幸内辰夫
主文
原判決を破棄する。
本件を神戸地方裁判所に差戻す。
理由
職権を以て調査するに原判決は第二、第三に於て被告人が原審共同被告人原島と共謀し森本鹿造方で日本刀を同人に突付け脅迫して現金一万円を強奪した事実と被告人が右森本鹿造方で右日本刀を携帯所持した事実を認定し前者につき刑法第二百三十六条第一項を後者につき銃砲等所持禁止令第一条、第二条を適用し以上は刑法第四十五条前段の併合罪であると解して、之に併合罪の加重の上被告人を処断している。然しながら原判決の認定は被告人の本件日本刀の携帯所持は右強盜行為の時間中の所持を指すものと解さなければならないから原判決認定の被告人の右各行為は刑法第五十四条第一項前段の一個の行為にして、二個の罪名に触るる場合に該当する。それ故に原判決には法令に誤があり此の誤は明らかに判決に影響があると認めて原判決を破棄する。